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この偉大なジャズ・ピアニストは、若干36歳にしてこの世を去った。しかしその短い生涯も、生後間もなく「20歳位までの命」を宣告されていた彼にとっては、充分に長いものだったのかも知れない。彼の音楽を聴くと涙が溢れ仕方ないのは、彼の人生が悲惨だったからなどではない。今は亡き彼が、その音楽を通じて「人生とはどれほど素晴らしいものなのか」を雄弁に語りかけてくるからなのだ。短いと知っている人生を肯定的に受け入れ、最後まで精一杯に生きた、彼の魂の込められた演奏。その卓越したテクニックと底知れぬ歌心が紡ぎ出すピアノの音からは、彼の背負った地獄のように恐ろしい身体的ハンディキャップや、そこから受けるであろう苦悩など、微塵も感じることがない。その音はパワフルで、テクニカルで、ポジティブで、美しく、洗練されていて、そして何より優しさとロマンに満ち溢れているのだ。
今日は彼の7回目の命日である。しかしこの日は逝ってしまった彼を惜しむための日ではない。何故なら、今日も彼の音楽を聴けば、天国の彼がこう語りかけてくるからだ。 「僕の死を悲しむなんて、人生がもったいない! そんな暇があったら僕の遺した音楽を存分に楽しんでくれよ! 人生は楽しむためにあるんだからね!」 ---------------------------------------------------------------------- 1962年、フランスのオランジュに生まれたミシェル・ペトルチアーニは先天性の骨疾患を患っていた。骨が正常に発育しないため、成人しても身長は1メートル程度までしか伸びないばかりでなく、内臓や神経が圧迫されるので健康状態を保つことが難しく、様々な二次疾患にかかる危険性があり、いつ消えてしまうか知れない命だった。そんな状態にありながらもピアノを学び、わずか15歳でプロデビュー、18歳でレコードデビュー。間もなく「天才ピアニスト」としてジャズ界にその名を轟かせる。一時は自らの不幸を嘆き、自殺未遂を繰り返すという時期もあったようだが、後期にはそんな壁も乗り越え、つねにポジティブな姿勢で生きていたそうだ。僕は1990年の冬に、NYの名門「ヴィレッジ・ヴァンガード」で彼の生演奏を聴く機会に恵まれた。幸運にも彼のピアノの斜め後ろという、絶好の席につくことができたので、彼の演奏ぶりをよく見ることができたのだが、実物の彼は、僕が想像していた以上に不自由そうな身体であったことにショックを受けながら、その素晴らしい彼の演奏に感激し、涙した。1999年1月6日。ミシェルはツアー先のニューヨークで急性肺炎にかかり死去。彼の亡骸は、故郷のフランスで、フレデリック・ショパンの墓の隣に埋葬された。このことからも、彼が人々からどれほど尊敬され、愛されていたかが伺える。 <一押しアルバム> ライヴ・アット・ブルーノート東京 97年にブルーノート東京でライブ録音されたアルバム。おそらくこの日、ミシェル(以下、愛称「ペトちゃん」)は絶好調だったと思われ、非常ににパワフルでダイナミックな演奏を聴かせてくれている。リズム.セクションはスティーブ・ガッド(ds),アンソニー・ジャクソン(b)。この名前を聞いた時点で、保守的なジャズ・ファンは「邪道だ」などと仰るかも知れない。確かに、この二人はどちらかというとフュージョン系に属する(またはフュージョン系を得意とする)ミュージシャンである。例えばスティーブのローピッチ・チューニングのドラムはフュージョン・プレイヤーそのものの、いわゆる「ドンシャリサウンド」だし、アンソニーのベースはエレクトリックのものであるばかりか6弦で、地を這うような、重心の低いベース・ラインを得意としている。これらはいずれもトラディショナルなジャズとしてはあまり歓迎されないであろうスタイルである。しかしそれらのサウンドや彼らの演奏スタイルはじつによく調和していて、その結果都会的でモダーンな、非常に粋なジャズ・サウンドに仕上がっているところが、このトリオの大きな魅力のひとつである。ペトちゃん自身が「世界最強のトリオ」と自負したのが誠に頷ける、素晴らいトリオである。もうひとつ、このアルバムは、ライブ録音の音質の良さに定評のあるドレイファス・レーベル(ドレフュス・レーベル)のもので、その臨場感溢れる音質が、このアルバムの価値を更に高いものにしていると言って良いだろう。 さて、このアルバムの聴きどころはまず1曲目の「Training」。アップテンポの4ビートである。スティーブの、フュージョン・テイストのプンプン匂うアプローチと、6弦ベースの超低音域を恐れもせず存分に使うアンソニー、この二人によるリズムセクションは「死ぬほど重い(=滅茶苦茶カッコイイ)」重量級のグルーヴでペトちゃんのピアノをがっちりサポートしつつ、丁丁発止で渡り合う、最高の演奏になっている。次に、僕がこのアルバムで最も好きなのが2曲目の「September Second」。ペトちゃんが愛妻の誕生日に贈ったという、16ビートのミディアム・テンポの、ロマンチックなバラード。「曲良ければインプロヴィゼーション良し」という言葉の通り、ここでのペトちゃんのソロは素晴らしい。特にトーナリティーが変わる瞬間の「トリハダモノ」の絶妙な音選びは、ハートのツボを押さえに押さえ、息をもつけない緊張感を与えてくれる。また、この曲でのアンソニーのプレーは特筆すべき。その「音の刻み方」はまさに「いぶし銀」のように渋いものだ。このアルバムは、他にも聴き所満載の、完成度の高いアルバムである。ジャズ通、ペトちゃんファンは勿論、これからペトちゃんを聴きたい人にもお勧めできる。 "Jazz truly loves you." Michel Petrucchiani ペトちゃんの動画が見られます
by deepblue-ryu
| 2007-01-06 00:14
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